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「うわぁ…何にもない。」
秋になったばかりで少し肌寒い。
『月神村入口』というバスの留置所で私は唖然と周りを見回す。
やっと、お母さんの故郷である月神村に着いたんだ。
私は引越しの原因でもあるお母さんの離婚があるまで一度も母方のおばあちゃんに会ったことがなかった。
というより会いたいと思ったことはあったけど、今まで会わせてもらえなかった。
会いたいな…と言ったらいつもはぐらかされてたから。
だから、初めてみる風景に驚く。
かなり…田舎。
でも、自然がいっぱい。
しかし、入口というわりにはこのバス停から村までかなり距離があった。
ここから村までは一本道らしい。
お母さんと私は重い荷物を抱え上げ歩き出す。
―――が、数歩もいかないうちにお母さんがうめく声が聞こえた。
「…痛ッ!」
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