それからの俺達

8/10
7138人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
いつも通り、彼女はそれだけを言うとそそくさと自分の部屋へと帰っていった 確かに私は可能性を持つが故にこの立場に甘んじている、ああ、そうだ、そんなことは私が一番知ってる 頑張ったのに認められなかったんだから仕方ないじゃないか、私は精一杯頑張ったんだから ボフンと私は自分のベットへと身を投げた、そのまま私はチマチマとマフラーを編んだ 次の日、クリスに起こされ下のテーブルまで引き連れられた 寝過ごしたかと思っていたが、そうでもないらしい、未だに太陽が西から入っている、まだ早いじゃないか テーブルにはエルデスト母様とエルデスト姉様が座っていた、クリスはそそくさと椅子の1つを私に促すと私の横に座った 何だろう?と椅子に座ると母様はおずおずと喋りだした 「先程、書状が来た、早馬で夜中通しで走ってきたらしい、今は裏で休んでらっしゃる」 「その世話を私にしろと?」 「違うんだ、アルメリア、その書状の内容についてだ、書状には貴女を魔導師候補から外すという内容だった」 恐れていたことだった、得意のポーカーフェイスで顔には出なかったが、私の手は震えていた その手をクリスは暖かく握ってくれた、びっくりした私に「大丈夫だよ」と屈託のない笑顔で言われた 「貴女の『不安』は知ってます、それについていちいちキャシーが突っついてるのもね、これは一枚目の書状です、二枚目があります」 するりと母様は懐から二枚目の封筒を取り出した 「こちらにはクリスに適性反応があったことを知らせる書類、それと貴女を教える新しい魔導師様が現れました」 「…新しい魔導師様ですか?」 「ええ、とても老齢で偏屈な方らしいのですが、腕は確かなようです、クリスもその方に教示して下さるそうです」
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!