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「厄介?」
「噛み跡から、僅かに“闇”側の魔力を感じる。今夜 奴等を見つけ次第、叩くぞ。」
「気付いたみたいだね…。」
建物の影から、フレイル達の様子を伺う者がいた。
「さて、たっぷりと遊ばせてもらうよ。フレイル。」
辺りは薄暗くなり、太陽は吸い込まれる様に山間へと沈んでいく。
ルエは宿の窓際で外をボンヤリと見ていた。
「さっきの人、大丈夫かな…。」
「大丈夫。吸血鬼になる因子ウイルスは入ってなかったし、血も致死量も達してなかったし。輸血すれば、日帰りで退院 出来るわよ。」
カナルフィはベッドに腰掛け、黒革のグローブをはめていた。
「しっかしさぁ、なんかフレイルの様子がおかしかったのよねぇ。50年の付き合いだけど、今まで あんなに冷静な判断したの見た事ない。」
「…! カナちゃん!」
ルエが何かに気付いた。
「どうしたの!?」
「あそこ…!」
ルエが指差す先には、遠く離れた教会。
そして その尖り屋根の先には、人影が見える。
「え…、どれ…!?」
「あんな所、人が立てる様な所じゃない…! 吸血鬼かもしれない!!」
ルエは部屋を飛び出した。
「ちょ、ルエ!! てか、あの子どれだけ目がいいの…!?」
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