因縁 ~再会~

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「久しぶりだねぇ、フレイル。」 「ああ。会いたくもなかったよ。テメェに…!!」 フレイルは柄を握り締め、光の塵と共に現れた青年に立ち向かった。 「カナちゃん、あれ!!」 「え!?」 ルエは何もない方を指差す。 「何!?」 「フレイルさんが戦ってる!!」 「だから どんだけ視力いいのよ、アンタ…。」 「カナルフィ。」 少し離れた所で移動していた詩鴇がカナルフィ達の元に来た。 「ルエを お願いします。私は先にフレイルの所に行きます。」 「分かった。気をつけて。」 詩鴇は更にスピードを上げ、フレイルがいる教会の方へと走っていった。 「ああああああああ!!!」 フレイルの雄叫びと共に、太刀が振り下ろされる。 が、意図も簡単に青年に太刀を片手で止められる。 「つまんないなぁ。いつまで そんな無駄な魔力制御してるワケぇ?」 青年が太刀を振り離すと、フレイルのバランスが崩れる。 「ちっ…!」 フレイルは咄嗟に体勢を立て直す。 「いい加減さぁ、魔力 解放してよ。“あの時”みたいにさぁ!!」 青年の真っ正面からの手刀がフレイルに襲いかかる。 「くっ…!!」 フレイルは太刀の刃を盾に、手刀の直撃を防ぐ。 「いい反応するね。安心したよ。“あの時”のままだね。」 「うるさい…!」 「ねぇ、まだ そっちで【聖母】の騎士なんてやってんの? くだらない。」 「うるさい…!!」 「いっそのこと、こっちに来なよ。そうすればさぁ、魔力制御なんてせずに戦えるんだしさぁ。」 「うるさい!!!」 声を上げた直後だった。 「…ちっ。」 青年は舌打ちをし、フレイルから離れた。 その数秒後だった。 フレイルと青年の間に、刀を振り下ろしながら割って入ってきた詩鴇が現れた。 「ウタ…!?」 「まったく、何をしてるんですか? 勝手に行動し出したと思いきや、勝手に戦闘ですか。」
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