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漆黒の闇夜に光る月。
月明かりの下、フレイル、詩鴇、カナルフィ、ルエ。
そしてフレイヤは互いに睨み合い、対峙していた。
「弟…!? てか、アンタ兄弟いたの!?」
「ああ。俺が ただ話してないだけだ。知られたくなかったがな。」
「アハハ。そこまでして、仲間に俺の事 知られたくなかったんだぁ。ま、賢明だと思うよ。」
フレイヤはフレイルを嘲笑し、ただ彼を見据えていた。
「ねぇ。今 協会に【聖母の欠片】っているぅ? 最近さぁ、不っ味い血しか飲んでなくてさぁ。」
「いねぇよ。飲みたきゃ自分の血でも飲んでろ。」
「なんだよ~。自分の血の方が もっと不味いのに。」
「んじゃ我慢しろ。」
「イ・ヤ・だ・ね!!」
突然 フレイヤがフレイルに手刀で襲いかかってきた。
フレイルは咄嗟に太刀の刃を盾にして防御する。
「冷たい兄貴だねぇ! こんな兄貴を持った俺は不幸者だなぁ!!」
「俺だって、イカれた こんな弟を持って不幸だよ!!」
太刀を大きく振るい、フレイヤを振り払う。
フレイヤは空中で体勢を立て直し、回転しながら屋根に着地する。
「思ってる事が一緒なんて、やっぱり双子の性(サガ)って奴ぅ?」
「だろうな。でも、テメェと考えてる事が一致したって、ちっとも嬉しかねぇんだよ!!」
フレイルは太刀を握り直し、フレイヤに向かって突進する。
「アハハ! 同感だよ!!」
フレイヤは隠し持っていた小型のナイフを取り出し、自分の手の平を軽く切った。
すると滲み出た血が次第に浮き上がり、剣の形を成していく。
それは やがて、柄も刃も真紅の剣へと変わった。
「綺麗でしょ? こんな剣、見た事ないよね!!」
フレイルの太刀。
そしてフレイヤの剣の刃が互いに ぶつかり合った。
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