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「へぇ、あの子 人間かぁ。」
「お前には関係ない!!」
「いいなぁ。いつでも餌にありつけるなんてさぁ。」
「エ・サ・じゃ・ねぇー!!!」
振り下ろした太刀から発生した風圧で、屋根が一部 吹き飛んだ。
「近所迷惑ー。」
「うるせぇ!!」
突進したフレイルの太刀と、フレイヤの剣の刃が再び ぶつかり合う。
「このっ…!!」
「ねぇ、フレイル。まだ あるの?」
「何がだ!?」
「胸の傷。」
「!!」
フレイルは剣の刃を押し返し、距離を取る。
「その反応…。まだ あるんだ。」
「ああ。不本意にも、まだクッキリと残ってるぜ…!」
フレイルが制服の襟に指を掛け、一気に服を破く。
露になった白い胴体には、胸から腹部にかけて生々しい傷跡が刻まれていた。
胸部には、横に伸びた一筋の傷跡。
そして、鎖骨辺りから腹部にかけて縦に伸びた長い一筋の傷。
心臓辺りで縦と横の傷が交差しており、それは十字架そのものの傷だった。
「それは俺とフレイルが絶縁した証。消えちゃ困るよね。」
「ああ。この傷を見る度、お前の顔が無意識に頭ん中を過(ヨギ)る。虫酸(ムシズ)が走って仕方ねぇんだよ!!」
「だったら、殺してみなよ。」
「ハナッから そのつもりだ!!」
フレイルは太刀を握り締め、フレイヤに斬りかかる。
「おっと!」
フレイヤは空中に飛び上がり、太刀の刃をかわす。
そんなフレイヤの視界に、ルエの姿が映る。
「彼女、貰うよ!!」
フレイヤは建物の壁を土台に蹴り、ルエに向かって飛んでいく。
「ルエ!!!」
「えっ…!?」
フレイルの声で、フレイヤが こちらに向かってくる事に気付いたルエ。
だが、フレイヤは目前に迫っていた。
「あっ…!」
フレイヤがルエの細い手首を掴む。
「ルエ!!」
カナルフィは黒革の手袋を装着した右手を前に出し、炎を発する。
「うるさいよ。」
フレイヤが剣を振るうと、凄まじい風圧が発生し、カナルフィを吹き飛ばした。
「きゃっ…!」
「カナちゃん!!」
「カナ!!」
フレイルが吹き飛ばされたカナルフィを受け止める。
詩鴇も まだ吸血鬼達と交戦中だ。
「さてと、ちょっとキミの血、貰うよ。」
「っ…!」
フレイヤの牙がルエの白い首筋に近付く。
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