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街から遠く離れた郊外。
光の塵と共に再び姿を現したフレイヤは、暫く呆然と佇む。
そして小さく笑い出した。
「アハハ…! 面白いなぁ、【聖母】って…! あんな奴にまで取り憑くなんてさぁ…!」
フレイヤの脳裏に、ルエの困惑する表情が過ると、再び笑い出す。
「あの様子だと、記憶はないか。あーあ。なんだか楽しくなってきたなぁ。」
宿に戻った一行。
ルエが休んでいる部屋には、フレイル、詩鴇、カナルフィがいた。
「何だったのかしら、アイツの反応…。」
「ルエと顔見知り…なんでしょうかね。」
フレイルはテーブルに腰掛け、独り考え込んでいた。
― “今はルエ”…か…。何が言いたかったんだ? フレイヤは…。
「…イル。フレイル!」
「あ、何?」
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。平気だ…。」
「…フレイル。あのフレイヤという者は?」
「…知る必要、あんのか?」
「ええ。彼は今後、我々の前に立ちはだかってくる事は確実。ですから、少しは知っておいた方がいいのではないかと。」
「…知る覚悟は、あるか?」
詩鴇とカナルフィは静かに頷いた。
「いいぜ。その代わり、ルエには言うな。今回の事で、ルエにとってフレイヤはトラウマになったと思う。俺達 吸血鬼だけの秘密だ。」
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