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「眩しい」
それが言葉になっていたかは定かではないが、僕の第一声はそれだった。
眩しい。真っ白な世界。醒めたばかりで霞む目。どれくらい寝ていたのだろうか・・・いつ僕は寝たのだろうか・・・霞んだ目と同様に記憶すら曖昧で、此処が何処であるのかすら分からない。辺りを見回してみた。とは言え、眩しくてほとんど分からないけど。ただ此処には僕以外に誰かいるようだ。光の強い方向に人影。その影は微動だにせず立っていた。今はまだ目を細めて見るのが限界だ。凝視すればこめかみが痛い。
瞼を閉じた。ぼんやり赤い。光が瞼を照らし視界を血肉色に染めあげる。開いて閉じる。それを何度か繰り返していくと徐々に霞みが取れてきた。それにつれある程度の陰影と単純な色を見分けられるようになってきた。そして此処が部屋もしくは壁で区切られた空間であることが分かった。
僕はもう一度光の強い方向に、人影に目を向けた。さっきよりはかなり鮮明だ。人影は僕をじっと見据え、腰近くまで長い髪を風になびかせ、深い紅の服を纏い立っていた。
目が醒めた時、
そこには一人の少女が居た。
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