序章

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「桂さん・・・」 「今日の仕事は全て終了した。帰るぞ、叶」  叶に桂と呼ばれた目の前の男は、不安げな彼女に優しく微笑み掛ける。  その声で漸く叶の瞳に生気が完全に戻り、無言で頷くと桂に手を引かれるまま黙って家路へと着いた。 ――――――――。  巷では叶に斬られ生き延びた者は数少ないと言われている。  しかし、その数少ない生存者達が共通して思う事が一つあった。  そして、運良く生き延びた生存者達は、毎晩毎晩夢を見ては唸されているらしい。  皆が共通してして思う事、それは―――。  人を斬り付けている時に見せる叶の表情は、とても楽しそうなものであるということ。  そして、その姿はまるで―――――。 【鬼神】か【阿修羅】の如くだった、と。 《続く》
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