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グルドは昔からグランティア王国に酷く執着して
いた。
10年前、グランティア王国とレオンバルト帝国との間に100日戦争という戦いが起こった原因も、元を辿るとグルドが図ったことだ。
グルドはグランティア王国をどうしたいのだろうか。
ルークにはグルドがグランティア王国の表では知らされてない何かを知っているかのように思えた。
(この男は一体何をしようとしている…?)
「おい。聞いているのか。」
はっとルークは我に返る。
「は、はい…。」
「いいか。絶対この婚約が無しになるようなヘマだけはするな。…期待しているぞ、我が息子よ。」
それだけ言うと、グルドは室内に戻って行った。
残っているのはルークだけ。
(…俺は今まで努力してきた。)
父親に好かれるようにと……皇帝である父親が恥をかかない、むしろ誇りになるような息子であろうと。
ずっと振り向いて欲しかった……愛して欲しかった…
でももう駄目だ。
そんなこと10年前のあの時から分かっていたのに、今まで望みを捨てきれなかった己に腹が立つ。
もう止めよう。
父親の操り人形…駒になるのは。
一人で生きよう。
ルークの瞳は、今までにない決意に満ちあふれた輝きを持っていた。
そして初めて自分の意志で自分の運命を動かそうとしたのである。
それがきっかけで、
ルークの運命は今とは大きく変わろうとしているとも知らずに……
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