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ルークは一先ず大広間に戻った。
「あ、ルーク様!」
「ティアナ王女。」
碧い髪を靡かせ、小走りに近付いて来たのは、今夜婚約者となるティアナ王女だった。
「もう、ルーク様。いつもティアナとお呼び下さいませと言ってますのに…。それに、」
今夜婚約するのですから。
とティアナは付け足す。
「ああ、済まない。」
だが、それがルークとティアナの心の距離を示すもの、だ。
ティアナが嫌いというわけではない。寧ろ好きの部類に入るだろう。
だがそれ以上でもそれ以下でもない。
そんな気持ちでこのまま結婚へと進めていいわけない。
ティアナはどう思っているのだろうか。
「ティアナ…王女。貴女はこの婚約をどうお思いになりますか。」
「……私はこの婚約で、両国の仲が安泰となるならば、とても嬉しく思いますわ。それにルーク様の事をお慕いしていますもの。……ルーク様こそ、どうお思いになるのです」
続く∇
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