創られた日

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  ふわりと抱きしめられた、あの感覚は今でも忘れない。 「俺が守ってやる」 だからもう泣くな、そう言って優しく抱きしめてくれた ほどよく白い肌に、赤茶の髪や切れ長の目がよく映える。 親なんかよりよっぽど優しかった、私の‥‥私だけのお兄さん。 「ねえ、名前は?」 私から少し身を離し、首を傾げる彼。 そんな彼を見上げてもう一度「名前は?」と訊ねてみた。 すると彼は「無い」とだけ短く答えて微かに笑う。 「だから、マリが決めな」 「私が?」 頷く彼に首を捻る私。 勿論、人に名前をつけるなんて初めての経験だ。 どんな名前にすればいいんだろう‥‥やっぱり恰好良い名前がいいな。  
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