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私と花火は淡い黄色の画用紙に表を書き、残った他の色の画用紙で花やハート、星を作り貼って飾っていった。
「……器用だな。」
先生は腕を組んで椅子に座り、不思議そうに私達の作業を見ていた。
「普通ですよ、これくらい。」
「先生もやったら案外上手だったりして。」
持ちやすいサイズに切った画用紙とハサミを先生に渡し、試しにハートを切ってもらった。
「…で、できた…が…」
数分後、先生のぎこちない声が聞こえ、作業に集中していた私達は先生の手元を見た。
「………ん?」
「…わぁ…これは…国宝級の不器用さんだ。」
先生の手に乗っていたのは、ハートというか…もう何と言えば良いのか分からない形の画用紙だった。
「だ、だから言っただろう!」
でもコレはちょっと…
「…ぷっ…」
「ぶふっ…あはははははは!!!!」
私も思わず吹き出してしまい、花火は思い切り大声で笑った。
「笑うな!!これが私の限界なんだ!!」
「それが限界って!!ひひははははは!!!!あはははッ、ヒー、お、お腹痛いー!!!!」
「花火笑いすぎ…。」
先生は花火の笑い声に少し苛立ち、ワケの分からない画用紙を握りつぶしてゴミ箱に捨てた。
「……ぷっ…」
「花火。」
「はぃ、すんまてーん♪」
花火はたまに思い出し笑いをしながら作業を続けた。
「でも意外ですね。」
「ん?」
先生は何もすることはなく、ただ私達の作業を見てるだけだ。
「先生、何でも出来そうなイメージでしたから。」
「…完璧な人間なんて居ない。」
それは先生自身を慰めてる言葉にも聞こえた。
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