ACT2. 人生初めての恋が訪れる日

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 俺、柊 誠(ヒイラギマコト)。十八歳、高校三年生。現在、兄の柊 雅之(ヒイラギマサユキ)と二人暮らし。  小さい時に両親を事故で亡くした俺達は、児童養護施設に預けられた過去を持つ。九つ上の兄が自立したのをきっかけに、俺達は施設を出て一緒に暮らしている。  アニキが高校を卒業してすぐに大手企業に就職してくれたお陰で、両親も居ない割に、俺は不自由なく学生生活を送れている。企業の社宅も俺達の事情を知ってか、格安で貸して貰ってる。  まあ、男二人でなかなか面倒だし、むさ苦しい時もあるけれど、俺達は本当に仲良く暮らしていた。  アニキは、何時でも俺の前に立って、俺を守ってくれたから。  俺が小さい頃からサッカーが好きだったから、サッカーが出来るようにと、サッカーで有名な高校にも行かせてくれた。  だから、どんなに辛い練習でも頑張れたし、何時でもアニキが応援してくれたから、どんな事も我慢が出来た。  それに、インターハイは超ウルトラ級の活躍をして、部を優勝へと導いたモンだから、行きたかったサッカーの有名な大学にも推薦で合格して決まったし。  大学でもバリバリ練習して、超一流のサッカープレイヤーになって、超一流の稼ぎをして、アニキを楽させてやる事が今の俺の夢なんだ!  そしてそんな俺は、その高校の卒業を本日控えている。
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