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「それにしても、雅之さん遅いなぁ。待ち合わせに遅刻なんてした事無いのに」
腕時計を見ながら、佐緒里さんが眉を潜めた。「見て、誠クン」
ずい、と腕を見せられた。
ワンピースから、細くて綺麗な腕が伸びてる。ドキドキしながら彼女の腕――もとい腕時計を見ると、七時五分を過ぎた所だった。
確かに、アニキにしたら遅い。ヤツは、超が付くほど几帳面な典型的A型人間だ。時間に遅れるなんてもってのほか。ヤツが一番嫌う行為だ。
しかし俺は、これまた典型的なB型というか。アニキとは性格が正反対。割とルーズだ。
まあ、ゴーイングマイウェイとでも言うのか。何時もは遅刻してばかりだけど、今日だけは遅刻するわけにはいかない、と早めに来たんだけど。
そんな俺の話はさておき、遅くても十五分前集合のアニキが、待ち合わせ時間を過ぎても来ないなんて。
おかしい。
「ちょっと、雅之さんに電話してみるね」
佐緒里さんがハンドバックから携帯電話を取り出し、アニキに電話を掛ける。しかし、呼び出し音が鳴り続けるだけでアニキは電話に出なかった。
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