ACT2. 人生初めての恋が訪れる日

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  「ヤダ、もうこんな時間! 雅之さんから連絡無いし・・・・待ち合わせ場所、間違えちゃったのかなぁ」  佐緒里さんの声に慌てて我に返り、ホテルのラウンジの柱時計を見ると、時計の針が調度七時半を指していた。  佐緒里さんは不安そうな顔で、再び携帯電話でアニキとの連絡を試みる。  しかし呼び出し音が鳴るばかりで、アニキが携帯電話に出る事は無かった。 「どうしよう・・・・」  泣きそうになってる佐緒里さんの肩を叩いて慰め、俺もバカアニキに連絡をしようと思って携帯を手に取った時だった。  ピルルルル ピルルルル  呼び出し音と共に、非通知の着信が携帯電話のディスプレイに浮かび上がった。  アニキかな?  もしかして、出先で携帯落としたから連絡つかない、とか。  ――あのしっかり者のアニキに限って、あるわけ無いか。俺じゃあるまいし。  とにかく急いで携帯電話に出た。
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