ACT2. 人生初めての恋が訪れる日

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  「はい」 『あ、柊誠さんですか!?』 「はい、そうですけど」  とても慌てた男性の声がした。知らない男性だ。  俺の名前を知っているなんて、一体誰だろう。 『私は、警察の者です。先程、お兄さんの柊雅之さんが、交通事故に遭いました! 搬送先の病院は上川総合病院です! すぐに来てください!!』 「兄・・・・が?」  警察と名乗る男性の言葉に、目の前が真っ暗になった。  そして、みるみる血の気が引いていくのが解る。 「・・・・ウソでしょう?」声を絞り出すのがやっとだった。  電話越しにあれこれ言われて、俺はすぐ行きます、とだけ言って電話を切った。  青ざめた顔の俺を佐緒里さんが覗いてきた。「どうしたの? 雅之さんに何かあったの!?」 「・・・・事故、だって」 「えっ!?」 「行こう、佐緒里さん!」  俺は佐緒里さんの手を取って、二人分の珈琲代金をバーカウンターに叩きつけ、セントラルホテルを後にした。
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