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アニキ・・・・――
佐緒里さんの事だって、どうするんだよ。
今後のコトや、佐緒里さんのコト、随分あれこれ一人で考えた。
そしてふと時計を見ると、時間が大分進んでいた。
・・・・あれ。
そういえば、佐緒里さんはどうしたんだろう。
アニキの部屋に行ってから随分時間が経っているし、遅い。
心配になったので、アニキの部屋に行ってみた。
アニキの部屋を開けると、ベッドに蹲る様にして佐緒里さんが腰掛けていた。
「雅之さん・・・・」
俺を見て、彼女は虚ろな瞳を湛えたまま微笑んだ。「こっちに来て?」
どうも、様子がおかしい。
俺は彼女にそっと近づいて尋ねた。「佐緒里さん?」
佐緒里さんの手には、アニキと一緒に撮影した小さな写真が握られていた。彼女はそのまま、俺にしがみついてきた。「雅之さん・・・・」
佐緒里さん。
俺はアニキじゃないんだよ。
顔は良く似てるかもしれないけど、ヤツの方が少し目が切れ長だし、性格は全然違うし、何も似てないんだ。
俺は、アニキにはなれない。
アニキのように立派には、なれない。
唯一アニキと一緒だって言うなら、貴女が好き、って事だけ。
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