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朝。目が覚めると全てが夢であってくれれば、と願っていたが、現実はそうじゃなかった。俺は、アニキのベッドの上で目覚めた。隣には、涙の跡を残したまま眠っている佐緒里さんが居る。
――昨日のコトは、夢じゃない。
俺は何てサイテーなコトをしてしまったんだ。
アニキが亡くなったその夜に、アニキの婚約者を抱いてしまうなんて。
どんだけ馬鹿なんだ、俺は。アニキを裏切って、佐緒里さんを傷つけて。
決して赦されぬコトをしてしまった。本当に、サイテーだ。
アニキじゃなくて、俺が代わりに死ねば良かったんだ。今までずっと大切に育ててもらった恩も忘れて、裏切って。
アニキ、ゴメン。
佐緒里さん、ゴメン。
二人共、本当にゴメン。
謝って赦されるコトじゃないって想うけど。
ホントに、ゴメン。
そう思うと、涙が溢れた。
アニキを失った悲しみと、アニキに対する罪悪感が溢れて止まらなかった。
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