ACT5. 兄から遺された約束

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  『マコへ  改めて手紙を書くなんて、何だか照れくさいけれど。  お前に言っておくことがあって、手紙にした。  マコがこの手紙を読む頃には、もう佐緒里の事は紹介した後で、お前は佐緒里への気持ちや俺に対する想いをあれこれ抱えているだろう。  もし違ったら、兄の見当違いな取り越し苦労だと、聞き流してくれ。  先ずは、佐緒里の事黙っていてゴメン。  マコは絶対に佐緒里が気に入ると思っていたからどうしても逢わせられなかった。  信用していなかった――そう思われても仕方ない事をしてしまった。  それについては謝る。悪かった。  けど、それはお前や佐緒里を失いたくないからだ。解って欲しい。  そんな事情があったから、佐緒里との事は、マコが高校を卒業するまでは黙っておこうと決めたんだ。  施設を出る時、お前には絶対寂しい思いはさせない、せめてマコが高校を卒業するまでは――と僕は、マコの兄であると共に、親であろうと決めていたんだ。
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