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そうだ! 合鍵は無いのか?
俺に佐緒里さんの事を内緒にしていたアニキが、彼女と逢うなら、外か彼女のマンションか、に限られてくる。
だったら必ず、アニキは佐緒里さんの部屋の鍵を持っている筈だ!
佐緒里さんの家の鍵を、あの徹底主義のアニキが持ち歩くとは思えない。きっと、何処かに合鍵が――・・・・
俺は、たまに鍵をなくす事があったから、家でも合鍵は隠していた。
『白い鉢の底』――ソコが、何時もの合鍵の隠し場所。
佐緒里さんの家でもきっと、そうやって合鍵を隠している筈だ。
鍵よ、在ってくれ!
そう祈りながら、玄関付近に飾られた鉢を探した。
かわいらしい花を付けた白い鉢があったので、持ち上げてみる。
鉢の底にガムテープで止められた、鍵が見つかった。
「あった・・・・!!」
急いでその鍵を取り、悪いと思いながらも鍵を開けた。
部屋はしん、と静まり返っていて、誰も居ないかのように思われた。
「佐緒里さん、居ないの!? 勝手に入ってゴメン! 少し、探しますよ?」
俺は一応声をかけながら、キッチン、バスルーム、手洗い等を覗いてみた。しかし、彼女は何処にも見当たらなかった。
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