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後、残るは寝室。
躊躇ってる暇は無いので、入りますよ、と一言声を掛け、無遠慮にドアを開けると、佐緒里さんはベッドの上で眠っていた。
それは、死んだように眠っていて。
俺は慌てて佐緒里さんに駆け寄った。
何度も彼女の名前を呼び、身体を揺するが起きる気配は無い。
寝室の傍にある小さなテーブルには、空になった薬の瓶や袋が沢山置いてあった。そして、飲み残した水。
まさか――・・・・
「佐緒里さんっ!! 起きて、佐緒里さん!!!」
そんな、まさか――・・・・!!!
俺はすぐに携帯電話を取り出し、救急車を呼んだ。
間に合ってくれ!
アニキ、頼む!! 彼女を連れてったりしないでくれ!!
連れて行くなら、俺を連れて行ってくれ!!
俺は彼女を抱き上げ、マンションの下まで降りた。
タイミング良く、さっき呼んだ救急車がすぐ来てくれた。
もう、誰も失いたくない。
お願いアニキ。
佐緒里さんを助けて――・・・・
俺は必死に祈った。
お願い神様。
お願いアニキ。
彼女がもう一度、目を覚ましますように。
そして彼女がもう一度、あの素敵な笑顔で笑ってくれますように――・・・・
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