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やがて月日も過ぎ、兄の葬儀も結局佐緒里さんは目覚めなかったので、彼女に出席して貰えないまま、終わった。
俺は大学進学を諦めて、アニキの就職先にお世話になることにした。
サッカーで飯を食っていくには、俺はまだ若すぎた。
夢はひとつ潰れてしまったけれど、アニキが居てくれなきゃ、意味が無い。
有難い事に、就職先の計らいで俺はアニキの担当していた仕事の補佐からさせてもらう事になり、更に社宅もそのまま格安の家賃で貸してもらえる事になった。
そしてアニキの手紙の通り、彼女のマンションの解約日が近づいてきてしまったので、俺は彼女の荷物を全て俺の家に移した。
彼女の持ち物には、ひとつの日記があった。
あの日――俺が彼女を抱いてしまった日のメッセージが、綴られていた。
引越しの時、俺は偶然その日記を見つけ、読んでしまった。
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