ACT1. 兄と弟と婚約者

6/8
前へ
/79ページ
次へ
 俺は驚きのあまり興奮して食べかけのトーストを皿に置き、バン、とテーブルを叩いて身を乗り出してアニキに詰め寄った。「それってどんな女性(ヒト)!? 何時から付き合ってんの!? つーか付き合ってんなら教えろよな!」  彼女イナイ暦ン十年の淋しいオトコだと思って、テメーの為に何回合コン開いてやったと思ってるんだ!  俺の苦労はナンだったんだ!  合コン代返せー!! 「まあ、それより予定が空いてるのか空いてないのか、どっちだ?」  俺の質問には一切答えようとせず、アニキが珈琲をすすりながら尋ねてくる。  ウン、今日の珈琲は格別に美味い、等と言いながら。 「夜は部活の奴等と合コンがあるけど、キャンセルするから全然OK! 予定空けれるよ」 「そうか、悪いな」 「別にいいよ。アニキのんが大事! それに、一大イベントじゃん!!」 「急に悪いな。でも、有難う」  アニキは嬉しそうに微笑んで、珈琲を飲んだ。  アニキとアニキのオンナとの待ち合わせ場所は、駅前のセントラルホテル。そのラウンジで3人で食事をしながら、彼女の事を紹介したいのだと言う。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5083人が本棚に入れています
本棚に追加