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それから、俺達の生活はスタートした。
佐緒里さんはとりあえず、勤めていた会社に再び出勤することになり、俺も頑張って早くアニキの仕事が出来るようになるべく、仕事に精を出した。
サッカーの事は続けられなくて残念だったけど、でも、それでも良い。
彼女が生きて、仕方なくても俺の傍に居てくれることが、今の幸せだったから。
アニキが居なくなって、独りじゃ淋しくて潰れそうな心も、彼女が生きていてくれるという事実が、俺を強くしてくれた。
そんな風にして、佐緒里さんとの生活を続けていたある日の事。
仕事から疲れて帰ってくると、玄関に佐緒里さんが出迎えてくれた。「誠クン、お帰りなさい」
「佐緒里さん・・・・」
感激で、胸が熱くなった。
俺は、出迎えることはあっても、こんな風に出迎えられたことが全然無かったから、すごく嬉しかった。
更に、キッチンに入ると良い匂いがした。
「えっ、コレ・・・・」
俺の分のご飯が用意してあった。
炊き立てのご飯、焼き魚、煮物、味噌汁・・・・。
「誠クン何時も遅いでしょ? お腹減ってるかなって思って、作っておいたの」
・・・・ヤバイ。胸いっぱい。
感激で、泣きそうなんだけど。
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