ACT7. 婚約者の味は、禁断の果実

4/11
前へ
/79ページ
次へ
  「ご飯用意してくれて、チョー嬉しい!」  そして、満面の笑みで彼女が用意してくれたご飯を食べた。  最高に美味しかった。嫁にするなら、やっぱりこういう女性がいいな、とつくづく思う。 「ご馳走様! 美味しかったぁ」 「ふふ。沢山食べたね」  食器を片付けようと立ち上がったのだが、俺があまりに嬉しそうにしていたからだろうか、佐緒里さんはクスっと、俺を見て笑った。  ――あぁ、その笑顔だ。  俺が、一目惚れしてしまった、可愛い笑顔。  アニキが死んでしまってから、もう見せてくれなくなった、その笑顔。  その笑顔に、逢いたかった。 「佐緒里さん・・・・!」  俺は感激のあまり、思わず佐緒里さんを強く抱きしめてしまった。 「あ、あの・・・・誠クン・・・・?」  夢中で抱きしめた。  すぐに離れようと思ったけれど、できなかった。貴女の優しい、花のような匂いが俺の鼻腔を擽り、欲望を刺激するんだ。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5078人が本棚に入れています
本棚に追加