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『お忙しい所申し訳ありません…あ、私クロフォードと言います。
この前の殺人事件について、聞き込みをしているのですが…』
やたら腰の低い刑事だった。
『いえ、警察に協力するのは…市民の努めですから…ご質問があればなんなりと…』
俺も丁寧に対応した。
『では…事件当夜…貴方はどちらで?』
『ここで調べ物をしてましたよ、もっとも私一人でですが…』
『なるほど…では、貴方の利き腕は?』
『右利きですが…それが何か?』
俺は実は両利きで…普段は右手だけを使っていた。
『いえ…参考までに聞いただけです…では、叫び声とかは…』
犯行現場は、ここから5分の距離だった。
『いや…残念ながら…』
『そうですか…』
クロフォードは軽くため息をついた。
聞けば、近くの屠殺工場の人間や…近所の誰もが…怪しい物音はしなかった、と証言していた。
物音や叫び声を聞いてないと言う証言は…俺で10人目だと言う…
彼がため息をつくのは、当たり前だった。
その後、彼は2~3質問したが…
それは形式的なものだった。
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