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俺は次の日も仕事をこなした。
いつもと全く同じ…善良な医師の顔で…
来た患者の大半は…診療費を払えない人間達で…
俺は笑顔でいつもの台詞を吐いていた。
『ええ…診察料は後で良いですよ。』
それを聞いた患者達の顔は…一様に明るくなった。
俺は、患者達のそんな顔を見るのも好きだった。
いつもはそれで、殺人衝動も抑えれたりするのだが…
この日は違っていた。
昨日来た…アニーの後ろ姿が…
頭の中で、何回もフラッシュバックし…
遂には…頭の中には…彼女の後ろ姿しか存在しなくなっていた。
あの首を…
後ろから羽交い締めにして掻き切りたい………
その瞬間を考えると…
………………………
『先生…タンブルティ先生?』
『ん…ああ、メアリー…なんだい?』
俺の楽しい空想は、メアリーの呼ぶ声に遮られた。
『何かお考えになってらしたんですか?』
メアリーは心配そうな顔で聞いてきた。
『ああ…今日はちょっと疲れたみたいだ…
患者は後、何人いるのかね?』
俺は…まさか、殺人衝動に駆られてるとは言えず…
疲れにかこつけて言い訳をした。
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