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…………
俺の目は、路上にある白くモヤッとした物体を見ていた。
周りの風景は、暗闇に包まれ…
僅かなガス灯の明かりが、その暗闇の中で唯一の助けであった。
そのガス灯の明かりが…俺の目の前の物体を照らしていた。
その物体は…ほんの数分前までは、一人の女だった。
俺の目は、その人間だった物体を見ている…
俺のは左手には…血に濡れたナイフが握られていた。
ああ…彼女をこのナイフで刺した瞬間の……………
えもいわれぬ感触と…あの興奮といったら…!
俺は数分前のその瞬間を思い出していた。
女は立ちんぼの売春婦だった。
彼女は俺の姿を認めると…
酒臭い息を吐きながら、仕事の誘いをしにきた。
『ねぇ…あんた、私と寝ない?安くするわよ?』
彼女はそう言いながら…正面から俺の首に両手をまわした。
『ああ…良いぜ。』
俺は気安く答えてやった。
『良かった、あんたツイてるね。今日はあんたが初めてだよ。』
彼女は俺と離れ背中を向けた、
彼女の仕事場…つまり彼女の部屋に俺を案内するためだ。
『うんとサービスするわよ。』
彼女が前を向いたまま、そう言った瞬間…
俺の右手は後ろから彼女の口を塞ぎ、左手に握られたナイフでその喉を………
『たっぷりサービスしてもらうぜ…』
俺は…そうつぶやいた。
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