第二章…昼の顔

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俺はメアリーが連れて来た患者を診察する。 本職は外科だが…此処では内科や小児科もやっていた。 この辺にはペダチェンコと言うロシア人医師も居たが… 彼は外科専門で…法外な診察料を吹っ掛けるので… 評判は悪かった。 おかげで俺の評判は上がり…病院には病人が引っ切りなしに来てる訳だ。 ペダチェンコ様々って事だな。 ……………… 俺がとある女の患者を診察していると… その患者はあの事件に触れた。 『先生、昨日の話聞いた?殺されたのは…ポリーらしいよ』 その患者も売春婦だった。 『ん?ポリーが?殺された?朝の騒ぎは…それだったのか…』 俺は知らない風を装った。 『先生…知らなかったのかい?呑気なもんだねぇ…』 その女は、そう言ってため息を付いた。 『ああ…知らなかったな、で彼女の遺体は?』 『オールド・モンタギュー・ストリートにある救貧院の死体置き場にあったよ。 ここに来る前に見て来たわ』 『そうか…どんな様子だった?』 俺はわざと聞いた 『あれは…惨いもんだったねぇ…思い出したくもない』 彼女はそう言って…身震いした。
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