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カッ!!ドドオォーーーーーーーーーン!!
夏の雷の乾いた音と共に漆黒の衣を翻し、その男は数匹の蝙蝠を従えて現れた…。
「娘よ、時は満ちた…あの頃の約束通り我が眷属となり我に忠誠を誓うがよい…」
漆黒のマントをはためかせながら男は眼下にいる一人の娘に目の焦点を合わせた。
漆黒の衣の男の視線の先には、透き通るような青髪を背中で束ねた細身の女性が立っていた。
「丁重に御断りさせていただきます…私にはすでに永遠の愛を誓った人がおりますから…」
女性は凛とした態度で黒衣の男に答える。
「10年前の約束を破るというのか?自分の母を助けるためにそちらから申し出たはずのものを…愚かな」
「えぇ、愚かでも構わない…でも、その約束を先に破ったのは他でもない貴方。貴方は自分から襲わない代わりに手下に命令し、私の父を吸血鬼に変え母を襲わせた…結果、私の両親は…」
吸血鬼にされた後、黒衣の男の手下によりなぶり殺しにされた…。
吸血鬼の力は常人の四倍はあると言われているが、吸血鬼化したばかりの場合腕力はあるものの血の魔力による抵抗力は弱い。
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