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そんな時に、風の噂で『吸血鬼に呪われた館がいまもある』と言う話を耳にした。
「さて…また酒屋にでも行って情報を得るか…」
宿を探そうとした矢先、子供数人が騒ぎながら走ってきた。
「誰か!誰か助けて!吸血鬼の館で友達が拐われたー!」
「!!」
「ゴブリンの仕業かしら…」
「あそこには行っちゃダメって言ったでしょ?!」
母親らしき女性達が子供達に駆け寄っていった。
「あの、すみません…吸血鬼の館って何処にあるんですか?」
「この村の北口から出て、林を抜けた先の崖の上にあります。ただ…今は観光気分では行かない方が…」
「そうみたいですね…仕方ありません、今日は一泊して都に帰ることにします」
そう言うと宿を探し、料金を払うと部屋に入った。
背負っていた荷物から、聖水の小瓶を15個と投擲用の小型ナイフを10本取り出すと着ていた服のポケットに入れた。最後に、愛用の双剣を背中のベルトに鞘で固定すると宿を後にし、村の北口に向かった。
北口から出て言われた通り林を抜けると、朽ち果てた館が姿を表した。
「ここが吸血鬼の館…か」
一つゆっくりと深呼吸をすると、館の入り口である木製の扉を手で押した。
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