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真っ先に真緒とシュノーのチア姿に卒倒するかと思われた奴は
黙々とバットをスイングしている。
そして、その目はミカンの投げる球を睨んでいた。
「ドラゴン……」
「無駄よ」
夏枝がクールに伝える。男子がチアガールに騒ぐ中俺は龍之介と夏枝を交互に見た。
「野球モードの龍は、もう野球以外の事は一切頭に無いわ」
龍之介は楽しそうに、うっすら笑みを浮かべて、ミカンの速球に合わせ素振りをする。
クラスマッチだってのに、バットが空を裂く音は凄まじかった。
それを見たミカンは、骨がある男がいると、受けて立つ様に笑っている。
龍之介が龍なら
ミカンは虎だった。
「あーいう時の龍は……昔っから少しだけカッコイイのにな……」
夏枝は呟くと帽子を深く被る。
そういや龍之介と夏枝は幼なじみだったけ?
何か過去にあったのだろうか?
俺は横目で夏枝を見ると、後ろからチョイチョイ袖を引っ張られる。
振り返るともじもじとそこに。
「ア……アの、この服…似合ってますカ? ホー」
チアガール姿の白い妖精がいた。
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