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師走に入ると、何故か世間が無駄に気ぜわしくなる。
しかしボクは、そんな世間の喧騒から取り残されるように、通い慣れたバイト先のコンビニから、いつもの道をいつものように家路に向かっていた。
肌で感じる以外、年間を通して季節感の無い帰り道ではあったが、途中にある寂れた公園の木々だけが、移ろいゆく季節を色で主張していた。
バイト上がりに買った缶コーヒーが、ポケットの中でカイロ代わりをしてくれていたが、それもそろそろ限界のようだ。
かじかむ手をさすり、家路に急ごうとしたが、何故だかその日は公園で飲みたくなった。家でコタツに入りながら飲んでも良かったが、寒い中で少しでも暖かいモノを飲むのが、少し贅沢に思えたからだ。
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