第一夜

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 公園に入ると、そこには懐かしい風景が待っていた。  ペンキが剥げ落ち、端の部分が欠けてささくれ立ったシーソー。鎖の部分が完全に錆びているブランコ。それはボクが子供の頃から何も変わってはいなかった。  三段階に高さの分かれた鉄棒も、逆上がりの出来なかったあの時のままになっている。しかし、回り過ぎて吐きそうなった記憶のある三角ブランコだけは、その姿を消し、滑り台付きのアスレチックスに姿を変えていた。  確かに危険な遊具ではあったが、無くなると寂しいものだ。  ボクは、初夏には藤が美しい花を咲かせる藤棚の下に設置されている、くたびれたベンチに座り、缶コーヒーの蓋を開けた。  既に人肌以下になった温もりを口の中で感じつつ、ボクは視線をさまよわせる。  人影のない公園は、その寒さを倍増させ、喉を通るコーヒーまで冷たく感じさせた。
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