第二夜

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 平凡な毎日は何も刺激を生まず、そこにある日常を怠惰に消費するのみだ。  世間の喧騒とは隔離された日常を続けていたボクにも、多少はしわ寄せが来るらしく、店長の命令で店にクリスマスのデコレーションをする事になった。  雪を思わせるスプレーを、クリスマス関連のキャラクターが型抜きされた厚紙の上から吹き付けると、白いサンタやトナカイが出来上がる。  適当に3枚の窓ガラスをクリスマス仕様にすると、ボクは陳列棚の整理に入る。そんなに客の来ないこの店に、そこまでする必要があるのか? と、ぼやきながらも仕事はこなす。  愚痴を言った所でバイト料が上がる訳でもないし、サボってバイト料減らされるのもアホくさい。  マニュアル通りの会話と、マニュアル通りの店内整備をして、いつもと同じ時間に帰る。  最近変わったとすれば、クリスマスケーキの予約が増えた位で、それ以外はいつもと変わらない毎日をボクは過ごしていた。
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