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しかしボクは、少女の不思議な雰囲気に引き寄せられるように歩み寄り、声をかけてしまった。
「こんばんは。もうすぐ暗くなるだろうし、もっと寒くなるからお家に帰った方がいいよ?」
少女はまた不思議そうな顔をすると、ブランコからゆっくりと降り、お尻を何度か叩き、ボクの顔を見た。
「んとね、ユカはサンタさん待ってるの」
クリスマス・イブは明日だ。きっと少女はサンタが来るのを待ちきれなかったのだろう。
「ユカちゃん、サンタさんが来るのは明日だよ? お母さんが心配するから、今日は帰ろう?」
ボクがお母さんの言葉を出した途端、少女の顔が曇り、泣き出しそうなのを必死に我慢しているのが伺えた。
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