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部屋の中には夕日が射し込んでいた。
吸いかけのタバコをもみ消し、新聞を置いて立ち上がる。
もうすぐ出勤の時間。
冷めてしまったコーヒーを飲み干し、スウェットを脱ぎ捨てる。
部屋中に積んだ段ボールの間を迷路のように移動しながら、手早く支度を済ませる。
来月にはこの部屋を出なきゃいけないのに、引っ越し先の家主がぐずぐずしているせいで、いまだに荷物を運びだせなのだ。
10センチのヒールに足を突っ込み、部屋を出る直前に、もう一度、ソファーの上の朝刊に目をやった。
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