Dearest

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「だけどお前に一目惚れするなんて、マニアックなお坊ちゃまだよな」 「どうゆう意味よ」 カレーを運んでくる依を横目でにらむ。 例の出来事を、美優がイカロスでしゃべりまくったらしい。 「高校生のお坊ちゃんだろ。可愛がってやれよ」 「全然可愛くない。なんでも自分の思い通りになると思ってるところが、癇にさわるのよね」 「ふーん。うらやましいねぇ、挫折を知らない若者は」 じじい臭い口調で依がスプーンを渡してくる。 ここに越して来てから、依のカレーばっかり食べてる気がする。 「どう?新作、ポークバナナカレー」 「美味しいけど、こんなにカレーばっかだと太るよ」 「いいだろ出勤前だし」 ルームシェアを始める前は、食事は別々、冷蔵庫の中のものには名前を書くというルールだった。 でも結局おたがいめんどうになり、食事は一週間ごとの当番制に変わった。 ひとり分作るのも2人分作るのも、手間は同じだし。
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