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「あー!!
授業中によそごと考えるなんていけないんだ。」
「ごめんごめん。
次から気をつけるから。」
そう謝ると、アルヴィスは既に書き終わっていた黒板を一瞥(いちべつ)し、直ぐに生徒たちの方へと向き直る。
「じゃ、授業再開するな。」
その一言で、教室は再び静まり返った。
反抗期とはどういうものか、ということを身を以て知っているからであろうか。
いつまでもこんなに素直だったら、苦労はしないんだがな。
生徒たちの反応に、アルヴィスはつい、そんな到底無理なことを考えてしまうのだった。
「ここに、4つのりんごがある。
これを2人で上手に分けるとしたら、どうやって分ければ良いと思う?」
そうアルヴィスが問い掛けると、はーいという、なんとも可愛らしい声が上がる。
「1人で2つずつに分ければいいと思いまーす。」
妙に間延びした声に、アルヴィスはにこりと頷いた。
「そうだな。
こうやって、分けると…」
黒板に描かれたりんごが、黄色い線で二つずつに、丸で囲われていく。
「ほら、ちょうど1人2つずつになってぴったりだろ?」
「ほんとだあ。」
完成した図に、教室がわっと湧いた。
「このように、いくつかあるものを、同じように分けることをわり算と言う。
覚えとけよ。
次に、こうすると…。」
黒板へと当てられたチョークがすらすらと動き、先ほど描かれたりんごの隣りに、何やら書き込まれていく。
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