1∥ りんごとトマト

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  「あー!!  授業中によそごと考えるなんていけないんだ。」 「ごめんごめん。  次から気をつけるから。」 そう謝ると、アルヴィスは既に書き終わっていた黒板を一瞥(いちべつ)し、直ぐに生徒たちの方へと向き直る。 「じゃ、授業再開するな。」 その一言で、教室は再び静まり返った。 反抗期とはどういうものか、ということを身を以て知っているからであろうか。 いつまでもこんなに素直だったら、苦労はしないんだがな。 生徒たちの反応に、アルヴィスはつい、そんな到底無理なことを考えてしまうのだった。 「ここに、4つのりんごがある。  これを2人で上手に分けるとしたら、どうやって分ければ良いと思う?」 そうアルヴィスが問い掛けると、はーいという、なんとも可愛らしい声が上がる。 「1人で2つずつに分ければいいと思いまーす。」 妙に間延びした声に、アルヴィスはにこりと頷いた。 「そうだな。  こうやって、分けると…」 黒板に描かれたりんごが、黄色い線で二つずつに、丸で囲われていく。 「ほら、ちょうど1人2つずつになってぴったりだろ?」 「ほんとだあ。」 完成した図に、教室がわっと湧いた。 「このように、いくつかあるものを、同じように分けることをわり算と言う。  覚えとけよ。  次に、こうすると…。」 黒板へと当てられたチョークがすらすらと動き、先ほど描かれたりんごの隣りに、何やら書き込まれていく。  
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