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そんなミヅキを見てアルトは視線をそらした。
「別に、礼なんかいらねぇよ。飯たかるのが目的だったしな」
ぶっきらぼうにアルトは言うが、どうやら照れているようだった。
「それでも言わせてください。本当にありがとうございました」
「あー、もう、別にいいって。そんなことより、ってなんだよ」
本当にくすぐったそうな顔をするものだから、ついミヅキはおかしくてクスクスと笑い出した。
「フフ、ごめんなさい。それじゃあ私はお疲れでしょうからお風呂の準備して来ますね」
テーブルの上を片付けながらミヅキが言うとアルトはキョトンとした。
ミヅキはアルトを担げるほどの力がなかった。
そのため、ミヅキは無理矢理動けないアルト引きずって来た。
そういう理由もあって、今のアルトの格好は、全身泥だらけでボロボロであった。
しかし、驚いたのはそこではなく
「風呂入れるのか?」
ミヅキは、はい、とにこやかに頷いた。
アルトが驚いたのは無理はない。
今の時代、水は大変な貴重品である。
西暦と呼ばれていたネフィリムの撃墜の日以前の世界なら、蛇口を捻れば簡単に水は手に入った。
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