15㎝+α―はじまりは短気!

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学校からのいつもの帰り道。商店街を歩く足取りが重いのが、自分でもわかる。 はあぁぁぁぁぁ…。 もう溜め息しか出てこない。 売り言葉に買い言葉、短気は損気と言うけれど、さすがにあれは怒ってもいいでしょう。 いいんだろうけど…はあぁぁぁぁぁぁ…。 「…どうしよう…」 頭痛いよ。 「穂波(ほなみ)ちゃん、どうしたの? 落ち込んだ顔をして」 両手に買い物袋をぶら下げて、声をかけてくれたのは、小さい頃からのご近所さん。 「カレンさん」 赤毛の彼女は米国人。旦那さんも米国人だったが、随分前に交通事故で亡くなられ、今は小学生の双子の兄弟を女手一つで養育中。 「荷物重そうですね、一つ持ちますよ」 「あら、ありがとう」 そう言いながらも、一番軽そうな袋を渡すところが、彼女の性格を表しているよう。 「で、どうしたの? 恋の悩み?」 「そんなのだったら、悩みがいがあるんですけどね…」 親に相談する訳にもいかない話し。でも、誰かに聞いて欲しいから。 「あのですね…」 今日のお昼休みのことでした。 いつものように花絵(はなえ)と中庭でお弁当を広げていたところに、五人の乱入者達が現れまして。 「泥棒猫!」などと暴言を吐きました。 あまりのことにびっくりしていると、中央にいた子が花絵に近づき、彼女の長い髪を鷲掴みにして引っ張ります。 花絵は悲鳴を上げ、あたしは慌てて相手を引き離そうとしました。 「ちょっと、何するのよ!」 「人の男を取っておいて、澄ました顔するんじゃないわよ!」 「『人の男』って…何のこと…」 「とぼけないで!」 ようやく彼女は花絵の髪を離しました。 「高直(たかなお)を取ったでしょ!」 あたしと花絵は顔を見合わせて。 「…心当たり、ある?」 「ううん。だって、今、彼氏いない…あ」花絵が思い出したように「そう言えば、二、三日前に告られたっけ。でも、断ったよ?」
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