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再会
それから数日が経った。
お気に入りのベンチにも行く気も起きないほど、たくさん雪が積もった。
暖かい部屋の中で、僕は窓から外を見ていた。
すると見覚えのある人が、公園の方へと歩いて行くのが見えた気がした。
もしかして…
そう思っていると
「行くよコロ。今日行って彼女がいなかったら、公園に行くのは最後にしようね。」
飼い主さんが僕を抱き抱え、いつものようにコートの首もとに僕を入れた。
よく晴れた冬空の下、いつもの道をいつも通り歩く。
しばらくすると、公園が見えてきた。
「やっぱりいないかな…」
飼い主さんがぼそっとつぶやき公園の入り口に行くと、奥の方に誰かがいるのが見えた。
「あっ…もしかして…」
飼い主さんがその人物に向かって、駆け足で近づいて行った。
その人物も、こちらに気づいたようだ。
「…あっ杉山さん。」
やっぱり彼女だった。
そしてその彼女の横には、男の人が。
「久しぶりだね由紀ちゃん!!突然、公園に来なくなったから、おばさん心配したんだよ。」
「ごめんなさい。実は…」
彼女はそう言うと、横にいる男の人を見上げてた。
「…もしかして…目を覚ましたの!!」
「…はい。」
彼女は微笑みながら、ハッキリと答えた。
彼女が公園に来なくなったのは、彼が目を覚まし、毎日毎日看病をしていたからだった。
彼の首には、彼女が編み上げだマフラーが巻かれていた。
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