あるひと冬の物語

彼女が寂しい訳

「今日ね、そこの公園で…」

飼い主さんが旦那さんに、今日あった事を嬉しそうに話してる。
旦那さんは、ビールを飲みながら「それで」とか「ほ～そんなに可愛い人なのか」とか、興味津々に聞いてる。

「そうなの。でね、明日からその子と公園で、いろいろお話することになって。まだこの街に慣れてないみたいだし。なんか、ほっとけなくての。」

飼い主さんは、ほんのり顔を赤らめながら言った。

「いいんじゃないか。慣れない町で知り合いもいないのは、心細いしな。」

旦那さんはコップにビールを注ぎながら、うなずくように言った。