話し相手

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話し相手

次の日から飼い主さんは、毎日公園へ通った。 僕も着いていき、お気に入りのベンチの下に潜り込む。 彼女の婚約者の話やこの町の事、僕の事などいろいろな話を2人でしていた。 彼女が編んでいるマフラーは、完成間近になっていた。 「編み物上手なのね、羨ましいわ。」 飼い主さんがマフラーをまじまじと見つめ、感心しながら言った。 「母が編み物好きだから、その影響もあって。」 彼女は照れくさそうに言う。 「ホント、目を覚ましてくれるといいわね。おばさんも、心配で仕方ないわ。」 飼い主さんと出会ってから一度も、彼女の婚約者は目を覚ましていない。 それでも彼女は、毎日毎日マフラーを編み続けていた。 「目を覚ましてくれるって信じてます。目を覚ましたら結婚式を挙げて、2人で旅行に行くんです。その時には、このマフラーを彼に着けてもらいたいんです。」 彼女は優しく微笑みながら、でも真剣な眼差しでマフラーを編み続けた。 もう冬は、すぐそこまで来てるかな…。
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