缶蹴り

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「原田、永倉、藤堂……惜しかったな」 「くっそぉ~~~!!」 なんとか間に合って缶を踏むと、原田達はガキのように悔しがって『収容所』へ向かった。 その後は問題にもならなかった。 皆、気配を消しきれていない。少しでも動けば、後ろを向いていても分かってしまう。 これは後で訓練が必要だな。 なるほど。総司の言うとおり、これは勉強になるかもしれない。 なんだか自分があいつに上手く言いくるめられ遊びにつき合わされている気がしないでもないが。 あっという間に二十名以上の隊士を『収容所』送りにし、残る隊士は最後の一人となった。 「最後の一人…………総司か」 よりによって一番厄介な奴が残った。と俺はあたりぎろりを見回した。 「さ……さすが鬼副長……五分で十五人も捕まえるなんて」 『収容所』の中から声が聞こえたが、ここからが勝負だ。 そんなに言うならほんとに鬼になってやらぁ。
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