缶蹴り

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†3-歳三† 残るは一人……そうなってからかれこれ二十分が過ぎた。 総司の奴め、全く出てくる気配が無い。 その理由として一番大きいのが、俺が缶の前で仁王立ちになっていることだろう。 総司に限っては今までの奴らのようには行かない。 さっき原田達に危うく缶を蹴られそうになった俺は同じ間違いをしないようにずっと見張っているのだが、 もしかすると逆効果なのかもしれない。 これではいつまでたっても終わらないではないか。 そう気付いた俺は少し離れて、缶の周りを歩き始めた。 日差しは一層強くなり、直射日光に当たり続けている俺は、いい加減、疲れてきている。 狂ったように鳴く蝉の声が一層暑苦しい。 まだ隠れているのか。 まだか。まだか。まだか。まだか。まだか。まだか…………!! 俺の堪忍袋の緒は切れる寸前である。
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