缶蹴り

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隊士すべてを鬼にするという強攻策により、 この勝負は俺、土方歳三に軍配されたかに見えた。 派遣した隊士が総司を連れて帰ってくるのを待っていると、 森の方から誰かが歩み寄ってきた。 やっと捕まえたか。と思ったが、相手は一人、総司捕獲隊ではないらしい。 しかも、覆面をつけている。 なるほど。そういうことか。 「総司!」 俺は奴の名前を呼ぶと、もう一度缶を踏んだ。 「俺の勝ちだ」 覆面なんてばればれだし、第一、服が総司のものである。 が、総司は歩くのをやめない。 うんともすんとも言わず、こちらへ向かってくる。 総司ではないとなると……だれだ? 他の隊士はもう捕まったはずである。 俺は気味が悪くなってきた。
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