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「沖田さん!!」
「…………へ?」
缶に草履の先が触れる瞬間、僕は眼が点になった。
見ると、僕のものではない足が、缶の上に乗っている。
その足を上へ上へとたどっていくと…………
「なんで!?」
さっきまで僕の味方だったはずの山崎さんがいた。
名前を呼ばれて缶を踏まれたら……つまり、僕の負け!?
「副長命令には逆らえない。『隊士は全員鬼』って」
「そ、そんなぁ~~~~!だまされていたのは私の方ってことですか……」
やられた……。
「それに、」
彼は続けた。
「私は副長に『人が倒れてて』といっただけで、別に『病気で』とか『沖田さんが』とかは言ってない。それなのにあんなに大慌てされたんじゃ、こっちもおかしいやら申し訳ないやらで……あの人は騙せない。……いろんな意味で」
「…………」
苦笑いしながら言う山崎さんを前に、僕はちょっとやりすぎたかもしれないと思った。
でも、いつも無愛想な土方さんが一体どんな風に大慌てしていたのか、想像もつかない。
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