缶蹴り

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「やりません? 意外と戦略が必要なんですよ~♪ 訓練になるかも」 「やらんと言ったらやらん。……遊んでいる暇は無い」 「遊んでいる暇はない」だって? 僕は土方さんがそっぽを向いている間に、彼の不意をついて懐に手を入れた。 「ば、馬鹿! 何してる…………!!」 無理矢理取り出したのは……彼の発句帳。わざとぱらぱらとめくってみせると、意外と女らしくくねくねとした文字がびっしりと並んでいる。 「本当は暇で暇でしょうがなくて、俳句でも作りに来たんじゃないですかぁ? ね、豊玉宗匠」 「………………」 おっ。困ってる困ってる。 僕がニヤニヤしながら土方さんの顔を楽しんでいると、真上から声がした。 「その話、俺たちも乗ったぜ!!」 「いいっすよね、副長。どうせ今日は暇ですし」 「訓練にもなりますよ」 見上げると、僕らが腰掛けている石段の上に三人の人影があった。 「あ、原田さん、永倉さん、藤堂さん!! ちょうどよかった」 土方さんは唖然としている。 「んじゃ、他のメンバーも呼んでくるわ」 「ちょ……ちょっとまて!」 鬼副長が止めるのも聞かず、原田さんは颯爽と屯所へ駆けていった。
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