1063人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
「やりません? 意外と戦略が必要なんですよ~♪ 訓練になるかも」
「やらんと言ったらやらん。……遊んでいる暇は無い」
「遊んでいる暇はない」だって? 僕は土方さんがそっぽを向いている間に、彼の不意をついて懐に手を入れた。
「ば、馬鹿! 何してる…………!!」
無理矢理取り出したのは……彼の発句帳。わざとぱらぱらとめくってみせると、意外と女らしくくねくねとした文字がびっしりと並んでいる。
「本当は暇で暇でしょうがなくて、俳句でも作りに来たんじゃないですかぁ? ね、豊玉宗匠」
「………………」
おっ。困ってる困ってる。
僕がニヤニヤしながら土方さんの顔を楽しんでいると、真上から声がした。
「その話、俺たちも乗ったぜ!!」
「いいっすよね、副長。どうせ今日は暇ですし」
「訓練にもなりますよ」
見上げると、僕らが腰掛けている石段の上に三人の人影があった。
「あ、原田さん、永倉さん、藤堂さん!! ちょうどよかった」
土方さんは唖然としている。
「んじゃ、他のメンバーも呼んでくるわ」
「ちょ……ちょっとまて!」
鬼副長が止めるのも聞かず、原田さんは颯爽と屯所へ駆けていった。
最初のコメントを投稿しよう!